チップバーン改善例(人工光型植物工場)
- 佐藤秀行
- 2月27日
- 読了時間: 2分
更新日:3月16日
今回はコンサルタント契約をしたある人工光型植物工場での、チップバーン改善例をご紹介したいと思います
【問題点】
LED電灯を交換したらチップバーンが多発した
【経緯】
フリルレタスとフレアベルを栽培。きれいに育ってはいたが成長が遅く、栽培に時間がかかっていた。中古の設備で、LEDの光量子が100μmoℓ・m⁻²・sec⁻¹であった。栽培日数の短縮を目指し、LED電灯の交換を行った。その後、工場内全体でチップバーンが多発した
【原因へのアプローチ】
①新しいLEDの光量は正常であった
②工場内の温度、湿度、二酸化炭素濃度は正常であった
③市販の小さなサーキュレーターが3台あるのみで工場内に気流が感じられなかった
③養液のpHは6.8から7.0を超える箇所もあった。根圏の環境は、藻がかなり発生しており、根の呼吸作用が弱く養分の吸収低下もうかがえる状態であった。養液は適温であった
④病害の除外診断のため、大阪府立環境農林水産総合研究所にて、植物体および養液を検査いただいた。植物体は根の一部からレタス黒根病の病原菌が検出された。養液からは、問題となる病原菌は検出されなかった。状態はカルシウム不足による生理障害、チップバーンと診断された。チップバーン箇所にカビが発生していたが二次的に発生したものと診断された
【対策】
光量が増したにも関わらず、それに見合う蒸散がうまくできなかったために、チップバーンが発生したと考えました。工場内の湿度は50%台にもかかわらず、植物体の中はカビが発生するほど高湿度状態であること、根圏の環境が良くないことから、大型の循環扇4台設置による気流制御と栽培棚の次亜塩素酸カルシウムによる洗浄を実施しました

【結果】
対策実施後に定植したものからは、チップバーン発生が目に見えて減少した

人工光型植物工場を作る目的で建設された施設は、気流発生装置がきちんと設備されていると思いますが、違う目的で使われていた空間に栽培設備を導入するようなケースでは、気流制御が問題となることが多いと感じます。今回は洗浄も実施しましたが、先に循環扇を導入した時点で明らかに効果が出てきましたので、気流が重要なポイントであった気がします。
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